正直に告白します。
私は料理が苦手です。
手間がかかることは、もっと大嫌いです。
本当なら、
パカッと蓋を開けるだけの
レトルトで済ませたい。
けれど、
それをすると
あの子たちのお腹が下してしまう。
体力が奪われ、
ただでさえ細い体が
さらに縮んでいくのを見るのは、
もう嫌なのです。
だから私は、今日も
「手間」という名の高い壁を、
溜息をつきながら
よじ登っています。
パワー不足のミキサーと、私の虚無感
我が家のキッチンでは、
毎日ミキサーとの格闘が
繰り広げられています。
さつまいもの粘り気に負けて、
すぐに
「スンッ……」
と黙り込む愛用のミキサー。
「頑張れ、あと少し!」
と励ましながら
スイッチを入れ直す私の腕は、
パンパンです。
「いつか、
業務用を買ってやるからね……」
そんな野望を抱きながら、
やっとの思いで作り上げた
ペースト食。
それなのに、
目の前の16歳たちは、
プイッと横を向くことがあります。
その瞬間に私を襲う、
果てしない虚無感。
「これしか食べられるものがないのに、
どうして……」
無言の愛犬の前で、
私は立ち尽くしてしまいます。
「紅はるか」と「私の調理」の相性問題
なぜ、
食べてくれない日があるのか。
その正解を求めて
迷い込んだのが、
「さつまいも品種」の
深い沼でした。
焼き芋にすれば
あんなに甘くて美味しい
「紅はるか」。
でも、
私の
「茹でる+鶏むね肉+水分」
という調理スタイルだと、
仕上がりが水っぽくなり、
お芋の味が
ぼやけてしまうようなのです。
これは
紅はるかが悪いのではなく、
私の調理法が
その良さを
引き出しきれていないだけ。
ホクホク系の
「紅あずま」は、
喉越しが重すぎるのか、
今の彼女の好みでは
ない様子。
そんな迷走を経て、
現在の暫定王者は
「シルクスイート」に
落ち着きました。
「指名買い」したくなる農家さんとの出会いを求めて
品種が決まれば一安心……
とはいきませんでした。
同じシルクスイートでも、
農家さんによって
驚くほど
「美味しさ」が違うのです。
しっとりとした質感。
口に含んだときの
絶妙な水分量。
野菜直売所などで
「この農家さんのお芋じゃないと!」
と指名買いしたり、
わざわざ発送を頼んだりする
お客さんがいる、
という話を聞いたことがありますが、
今の私なら
その気持ちが
痛いほど分かります。
実は私自身、
あの子たち以上に
さつまいもを主食として食べている
「さつまいもマニア」のようなもの。
だから、
お芋の質には
人一倍敏感です。
変色している箇所は
徹底的にカットするなど、
自分なりに
最善を尽くしているつもりです。
それでも、
あの子たちが
プイッと横を向く日がある。
「今日食べないのは、
お芋のせい?
それとも気分のせい?」
結局、
本当の理由は
犬にしかわかりません。
だからこそ私は、
「せめてお芋だけは最高のものを」
と、
信頼できる農家さんを
必死に探し続けているのです。
まとめ|愛情なんて言葉じゃ足りない「やるしかない」毎日
「愛情を込めて手作りしています」
なんて、
綺麗事は言えません。
せっせと作ったものを
台無しにしたくないという執念。
下痢をさせたくないという恐怖。
そんな泥臭い思いに
突き動かされて、
私は今日も
さつまいもを蒸かしています。
料理嫌いの私を
ここまで変えたのは、
他でもない、
わがままな16歳の食欲でした。
正解は見つからないけれど。
明日もまた、
あの「いい形」の合格通知を見るために、
私はミキサーの
スイッチを入れます。


