「これなら食べる!」
我が家の16歳トイプードル、めめ。
腎不全と診断されて1年が経ち、
食べられるものが日に日に減っていくなかで、
最後の希望は「ちゅーる」でした。
まさに「ちゅーる様様」。
あの魔法の香りに、
眠っていたはずの鼻がピクピクと動き出すのを見て、
私は何度
「神様、仏様、いなば様……!」
と拝んだことか。
ところが。
そんな全幅の信頼を寄せていた
魔法の杖も、
どうやら万能ではありませんでした。
「1本の壁」は、あの子の限界サイン
実は1年ほど前から、
薄々気づいていたことがあります。
それは、
ちゅーるを「1本」あげたときは平気なのに、
「2本」あげると、
翌朝お腹を下してしまうということ。
「食べてほしい、
でも下痢をさせて
体力を奪いたくない」
天秤のどちらに重りを乗せても
心が痛むような、
飼い主のジレンマです。
形状はペーストだし、
消化に良さそうなのになぜ?
そう考えたとき、
ふと自分の体の変化と
重なりました。
現在51歳の私。
最近は脂っこいものを食べると、
すぐ胃もたれするようになりました。
「もしかして、
あの子も私と同じで、
脂質に弱くなってるのかも?」
専門家が書いた
医学的根拠があるわけではありません。
けれど、
私とあの子は、
一緒に「お年寄り」への階段を登っている同志。
私の胃腸が
「お肉より、さつまいもがいいわ」
と言っているなら、
あの子の胃腸も
そうなんじゃないか。
その「飼い主の勘」は、
あながち間違いではありませんでした。
「良かれと思った」が裏目に出るとき
少しでも栄養を。
少しでも元気を。
そう思って
スーパーで手に取ったのが、
いなばの「国産鶏 」レトルトパックでした。
「国産鶏」という安心感。
そして、
さつまいも入りの
バラエティパック。
今の彼女に
ぴったりだと思って、
迷わずカゴに入れたんです。
「食べてる、食べてる!」
嬉しくて、
勢いに任せて一袋。
……これが、
悲劇の始まりでした。
翌朝、
そこに残されたのは、
ゆるゆるのうんち。
1袋約100円。
飼い主にとっては
なんてことない
日常のフード。
でも、
今のめめの
弱った胃腸には、
これが想像以上に
ヘビーな「ご馳走」
すぎたようです。
「7本伝説」と、鋼の胃腸
そんな
「1本の攻防」を
繰り広げている我が家ですが、
世の中には強者がいます。
以前、
動物病院で見かけた
ボストンテリアちゃん。
飼い主さんが
スタッフさんに、
「一度にちゅーる7本あげてください」
と頼んでいて、
心の中で
「7本!?お腹、鋼(はがね)なの!?」
と叫んでしまいました。
上には上がいる。
でも、
あの子はあの子、
うちはうち。
鋼の胃腸を持つ子を
羨んでも、
仕方ありません(笑)。
我が家にはもう一人、
16歳の同級生、
ヨーキーの「ぬぬ」もいます。
この子もまた、
食いしん坊ゆえの
「食の事件」を
起こすのですが……
そのお話は、
また次回に。
結局、最強なのは「台所のヒーロー」
結局、
今の我が家で
一番安定しているのは、
スーパーで買ってきた
「さつまいも」や
「鶏むね肉」を、
私がせっせと茹でて、
ミキサーで作った
ペーストでした。
市販のレトルトのような
食欲をそそる香りはなくても、
脂質を極限まで落とした
「引き算の味」。
それが、
今の彼女には
一番優しい。
ただ、このペースト作り、
実は一苦労で。
うちのミキサーは
パワー不足で、
すぐに
「スンッ……」
と止まってしまうんです(笑)。
「業務用のミキサーが欲しいわ」
なんて野望を抱きながら、
今日も
だましだまし
スイッチを入れています。
正解はないけれど。
彼女の体からのサインを
読み取ることだけは、
これからも、
続けていこうと思います。


